林道でヤエヤマアオガエルを見る

林道でヤエヤマアオガエルを見る


最近続いていた雨が止んだので近くの林道へ出かけた。
側溝に溜まった落ち葉をかき分けると、ヤエヤマアオガエルの卵塊が次々に出てくる。やや黄みを帯びてメレンゲ状に固まっているのは産卵から少し時間が経ったもの。既にごく小さなオタマジャクシが蠢いている。
他方、白くて泡っぽいのは産卵後間もない。そっと落ち葉を払うとまさに産卵中のつがいが姿を見せた。

産卵中のつがい。じっとうずくまったまま、木の枝で突ついても動かなかった

アオガエルの産卵といえば水面上に張り出した木の枝に卵塊をぶら下げるモリアオガエルの印象が強かったけれど、ヤエヤマアオガエルではそういったものはあまり見かけない。
湿度が高く雨の多い石垣島では、わざわざ目に付くリスクを冒してまで水面上に産卵せずとも、土や落ち葉の中から無事水中にまで辿り着けるオタマジャクシが十分数いるのだろう。林道ふもと近くの溜め枡では雨のたびにオタマが流入・流出を繰り返し、しばしばサイズや種類が置き換わる。

このように溜まった落ち葉をかき分けるたび、卵塊はほぼ間違いなく見つかる
産卵後やや時間が経ったと思われる卵塊。黄みを帯びて泡はしっかりしている。黄色い卵の粒が見える
水面上の植物に産み付けられたヤエヤマアオガエルの卵塊。2021年7月

小ぶりのものを見つけたら、家でオタマから育てた個体のルームメイトに連れて帰ろうと思っていたけれど大きなのしか見つからなかった。そういえば野外で小さなヤエヤマアオガエルを見たことがない。地表近くにいるのは産卵のためであって、小さな個体は他のカエルとの競合やヘビを避けてもう少し高い位置にいるのかもしれない。

落ち葉の中から出てきた鮮やかな個体。一緒にいた別個体とのサイズ差からメスと思われる。背中に小さなオタマジャクシが乗っている。これは偶然だけど、背負って子守りをする一部のカエルの原型を見たような気がした
鮮やかな緑の個体のすぐ近くにいた、オスと思しきひとまわり小さな個体。濡れた落ち葉の中へするすると素早く泳いで潜っていった
カンムリワシ。ヤエヤマアオガエルの捕食者になりうる

(おわり)