展示のお知らせ:「川」
京都での展示のお知らせです。
●会期: 2024年6月11日(火)〜7月14日(日)
●時間: 10:00〜20:00
●場所: 京都 蔦屋書店(MAP) 5階 BOOKアートウォール
※四条河原町近くです。「京都岡崎 蔦屋書店」さんではありませんので、ご注意ください。
原画の販売は店頭では行わず、6月15日(土)10:00より7月14日(日)までの間、京都 蔦屋書店オンラインストアにて販売いたします。
作品の販売はこちら
テーマは「川」とし、淡水魚の作品を揃えました。
店頭でもオンラインでも、ご覧いただけましたら幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
川
2年前の夏、美しい細流に出会った。
水面のゆらぎを透った木漏れ日が、繁茂した水草や希少な小魚の影をゆらめかせる。特別な場所を見つけたのが嬉しくて足しげく通った。
季節が深まるにつれ水草が減り、魚の影もまばらになった。北風が吹く頃には、冷たく硬い水が砂底を洗うだけの景色に様変わりしていた。
夏を懐かしむうちに水がゆるみ、樹々の緑も勢いを取り戻したけれど、水中は静かなまま。そうして気づけば初めて訪れた日付も過ぎて、賑わいは戻らぬまま再び冬になった。
今もかすかな期待を抱いて立ち寄るたび、小さく落胆している。
川は動的で、いつもどこかつかみどころがない。
陸と海によって範囲を限られながら、水も砂も生き物たちも、たえず流れて入れ替わる。
そんな中での魚たちとの出会いは、互いに「いま、ここに自分がいる」という必然の針の先ほどに小さな交わりが、広大な不安定の上に漂う偶然であるという事実を思い知らせる。
川の魚の美しさは繊細だ。
それはひとつには、川という場の不安定への感受性が、知らず知らずのうちに投影されるからではないかと思う。
それゆえその姿を描くのにはかすかなもどかしさを含んだ甘い緊張——美しい夢から醒めた朝、その光景がさらさらとこぼれてゆくのを必死にすくい止めて書きつけるのに似た——がある。