個展「魚の肖像Ⅲ 個と水平に向き合う」ありがとうございました
個展「魚の肖像Ⅲ 個と水平に向き合う」、6月24日をもって会期を終了いたしました。
自分は「自然」や「海」といった、概念的であったり総体的なものと向かい合っているのではない。それらに包まれるもの同士として、水平・対等な立場でひとつひとつの命と向き合っている−–日々魚たちと接する中で形作られてきたそんな思い、それを背景に意識しつつ描いた魚たちをご覧いただいた9日間でした。
会場へお越しくださった方(来てみたら休廊日だったという方も!)、SNSやブログで言及・リアクションくださった方、どこかで情報を見て「行ってみたいな」と思ってくださった方、ご家族やご友人におすすめくださった方。そのほか、この個展に意識を向けてくださったすべてのみなさまに、心よりお礼申し上げます。
…というように「みなさま」にお礼を申し上げるということは、「概念的・総体的なものと向かい合うのではなく、個との二者間の関係を意識する」という今回の個展のテーマにそぐわなくもあり、事実、私のお礼の気持ちもおひとりおひとりへと向かうものです。ですが、その気持ちを踏まえて素直に出てくるのが「みなさま、ありがとうございました」という言葉でした。
つまり、個を意識しつつ、それをまとめて概念的・総体的なものと向かい合えるというのも、ヒトならではの思考活動の賜物。ひょっとすると、今回の個展のテーマであった「個と水平に向き合う」も、いずれまた私の中で形を変えて、より概念的・総体的なものへと向かうのかもしれません。
認識がひとつ進むと、以前は間違っていると思っていたものが正しく見え、正しいと思っていたものに別の見方が浮かんでくる。さらに認識が進めばまた、正しく見えていたものに違和感を抱き、間違っていると思っていたものの中に真理が見えたような気になる。そういう、すべての人類が今に至るまで繰り返している葛藤と試行錯誤を、私も続けていきたいと思っています。
おひとりおひとりへの心からの感謝を背景に、みなさまに厚くお礼申し上げます。
これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます。