メギス倦怠期を抜ける
鹿児島大学総合研究博物館さんのウェブサイトに、メギスの新参異名とされていたガンテンメギスを有効な種として再記載する論文が掲載されていました。
昔ガンテンメギスと名付けられた魚をよくよく調べてみると、メギスと同じものだった…のが、さらに調べてみるとやっぱり別だった!という話です。
わかりやすいポイントとしては、体側の斑点が上半分にとどまるのがメギス、全身に広がるのがガンテンメギスだそうです。
同論文によると現在確認されているそれぞれの分布域はざっくりと
メギス……沖縄本島、慶良間諸島以北
ガンテンメギス……徳之島以南
つまり僕が住んでいる石垣島を含む八重山にはガンテンメギスのみ生息しているということになります。
石垣島へ移り住んで以来、メギス(ガンテンメギスということになりましたが)はもっとも数多く釣った魚の一つです。貪欲であまり警戒心なくルアーや餌に食いついてくるので、今では「またか」とすっかり倦怠期に入っています。
ただ、いつも手にするメギスの体色が図鑑に載っているものと随分違うことは移住当初から引っかかっていました。
石垣島での釣りではあらゆるところで出会えるメギス。一枚目の大きいのがオスで、最大で20cmぐらい。二枚目がメスで、それよりやや小ぶり。…なのだけど、山渓の『日本の海水魚』掲載の個体は模様も違うしサイズも12cmとある。石垣に多いこの大きいのは将来別種になるのではと期待してる pic.twitter.com/9Mu6dvrFPY
— 長嶋祐成 (@kuroNYU) September 28, 2016
(大きさも気になってますが、そちらは関係なかったようです)
そもそもメギスは婚姻色も含めカラーバリエーションの大きい魚ですが、八重山とその他(沖縄本島以北)では傾向に違いがあるように感じていました。
順に黒島、沖縄本島、屋久島、種子島。地域によって体色の傾向に違いがあるのかどうか分かりませんが、八重山では朱〜黄色みを強く帯びたものはあまり見かけないように思います。4枚めの種子島のは色が強くて鮮烈な印象でした。 pic.twitter.com/xUbAYwY5yh — 長嶋祐成 (@kuroNYU) July 7, 2020
自分が手にした魚を「新種じゃないか…?」とか「これは他の地域のと絶対違う」などと言いたくなるのは「釣り人あるある」の一つだと思います。なので己を話半分で見るようにしていたのですが、今回は晴れて別種ということでスッキリしました。
そんなわけで僕のメギス写真もタグ付けし直そうとざっと見返してみたのですが、石垣で釣った中にもガンテン種ではなくノーマルだと思われるものがありました。
いずれも同じ場所で釣ったものなので、限られた範囲において八重山でもノーマルのメギスが生息しているのかもしれません。
「またか」と思っていたメギスとの出会いが、ここへきてまた面白くなりそうです。