2021年とその先の心算


メバチ

メバチ

昨年末の時点では、スケジュールにそれなりに「空き」のある2021年にするつもりでした。1ヶ月ぐらいは何もせず、ただ毎日のんびり海で遊ぶ期間を作ってもいいかなと思っていたぐらいです。
ところがふと手元の予定をたぐってみると、次々連なってその末端はもう11月。今年もまた、そうして目先の何かに追われるうちに過ぎる1年になってしまう気がしてきました。

少し前から「新しいことにチャレンジしたい」という気持ちが高まっているのですが、1年という期間をベースに考えているといつまでも着手できなそうです。3年、5年のスパンでものを考える必要をようやく身に沁みて実感しています。
スポーツ選手を見るたび「キャリアが短い職業は大変だな」と思うのですが、よく考えれば限られた時間の中で自分のキャリアを組み立てていかねばならないのは誰しも同じ。目の前の仕事に力を注ぐのは当たり前ですが、近いところばかり見ているといつの間にか時間だけが経ってしまっていた、ということになりかねないと危機感を抱きました。

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そんなわけで、「新しいことにチャレンジ」したい一方で「活動のコンセプトをより明確にしての選択と集中」を強化したいとも思っています。
初めて個展をひらいてから5年半が過ぎましたが、当初「魚の絵を描く」としか定義できていなかった自分の活動にいくつかの指針や方向性があることを、ここ最近になってようやく把握できるようになってきました。

僕が描く絵はあくまで「自分自身がこの世界とどう向き合い、どう理解しているか」を確かめるもの。それは昨年刊行した『THE FISH 魚と出会う図鑑』のテーマでもありましたが、ひとつには「思い通りにならない他者」との関係を描き表すことです。分野的には哲学や芸術のようないわゆる文系領域と相性がよく、実は「魚」というキーワードで思い浮かべるほどには自然科学との親和性はないのだと気がつきました。
博物画やサイエンスイラストレーションが目指す客観性に僕自身さほど惹かれないことや、そんな中で「分からない他者を理解すること」に特化してデフォルメされた魚類検索の模式図には惹かれることも、そんな自分の指向と一致しているのだなと思います。

そうして自分自身への理解をより深めつつ、2021年およびこの先3年5年の見通しをもって、自分が何に時間を使うのかを考えながら活動していきたいと思います。

ビンナガ

ビンナガ