西表島で川歩きを試す
冬の八重山では貴重な晴れ予報に思い立ち、西表島に行ってきた。
ここ数ヶ月石垣島で熱を上げた「川歩きしながら魚を見る」ということを、西表島でもやってみたかった。きっと同じ魚が釣れるだろうし、違う魚もいくらかは釣れるかもしれない。あるいは場所によっては何も釣れないかも。結果がどうあれ、それが「石垣島」と「同じ釣り方」を足掛かりに自分にとっての西表島の一側面をつかみ、認識の地図を塗り足すことになる。
朝の第一便で渡り、港にほど近い初めての小河川にさっそく足を踏み入れてみた。
経験上、いかにもテンジクカワアナゴが飛び出しそうな石や流木の陰を釣り歩いたけれど、反応がない。目の付け所が違っているのか、この川にはいない(少ない)のか、単にたまたま釣れなかっただけなのか。理由は分からないしここで突き詰めもしないけれど、今日この日にこの足下の感触や光とともに「釣れなかった」ことが、また次回同じ場所や別のどこかをつかむ材料になる。
一泊二日の短い滞在でしかも翌日は雨の予報だったから、駆け足に川を巡った。
日が暮れていつもなら港で引き続き釣りをするところを、ゆっくり食事をして早めに休んだ。
翌日は予報通りの雨、それでも川の釣りでは樹々が雨除けになって案外気にならない。
単純な見釣りしかしない上にハゼ初心者だから、せっかくの西表島で普通種ばかりで少し恥ずかしい。結局過去に石垣島や奄美大島でも見た魚だけだったけれど、少なくとも石垣島で通い慣れたところより川の環境の多様性が高く、それに伴ってハゼたちの個体数も種数も密度が高いようだった。
これからもこの川歩きの釣りを、日本の最南端から少しずつ北上しながら試していきたい。もっとも身近なテンジクカワアナゴに加え、いつか初めてノーマルのカワアナゴを手にしてその魚体や住む環境を自身に刻むのを今のところ一番楽しみにしている。
(おわり)