除草剤に抗う木
先日、上海からのお客様がいらしたので、近所のエコツアー「オリオン」さんにお願いしてマングローブカヌーと散策に。
そこで「マングローブのヒルギは、塩分を含んだ水に根を下ろして生きてゆくために、吸い上げた塩分を一枚の葉に集めて捨てている」と教えてもらいました。この話、以前もどこかで聞いたことがあるのですがそのまま忘れてしまっていたもの。
そうだったそうだった、と納得した翌日の釣りで…
確かに確かに。それぞれの枝の葉の中で一番下のもの(=古いもの)に塩分を集めて捨てているようです。
ヤエヤマヒルギ、葉が肉厚でしっかりしている分、枯れて黄色くなったものもある程度の強度を保って美しいです。
それで今朝、庭木をぐるりと見回っていると、似た眺めに出会いました。
この木、実は10日ほど前に家主の小菅さんが一時帰国なさった時に、伐り倒そうということで幹に穴を開けて除草剤を直接流し込んだものです。
作業しながら小菅さんも「なんのなんの、と言って木が勝つかもしれませんね」とおっしゃっており、その後がどうなるか見ものだったわけですが、通常除草剤が効力を発揮するのは1週間から10日後。すでに「その時」が来ているはずの木ですが、いまだ大勢に翳りは見られず、ヒルギと同じように枝の一番下だけ黄色くなった葉…
ひょっとするとこの木にも、自らにとって悪影響を及ぼすものを一枚の葉に集めて捨て去る機能が備わっているのかもしれません。
木になにやら意識があるような、『聊斎志異』に登場する精霊を見たような、そんな気持ちでした。